マーケティングにおける機械学習の活用事例(B2B編)

DataRobotの中野高文です。

様々な業界においてDataRobotを導入されていますが、最初に活用される事が多い場面がマーケティングです。大きなシステム変更などが必要でない場合が多く、検証も比較的容易く行えるため先ずマーケティングで活用した後に、本業のコアな部分でも適用するといったお客様が多く見られます。

それではマーケティングに機械学習を導入するメリットとはどこにあるのでしょうか?

まずそれぞれのユーザーに向けたカスタマイズが可能になります。近年一人一人の消費者のニーズや購買履歴に沿ったマーケティングを行うOne to oneマーケティングさけばれていますが、マーケターが万といる個々のニーズを把握することは不可能です。しかしそのユーザーを数十にセグメント分けしただけでは、少しづつ異なったユーザーのニーズを満たすことができず、最高のエクスペリエンスを与えることはできません。そこで機械学習を利用することによって、個々のユーザーに完全にカスタマイズされたマーケティングが可能となります。たった今行なった購入・検索によってオススメの商品が刻々と変化する、Amazonでのレコメンドなどは正にその一例です。

さらにWebマーケティングが重要性を増している近年は収集可能なデータが非常に多くなっています。登録情報、ブラウジング履歴、購入履歴、位置情報、・・・などなど山のようにある情報から重要な変数を導き出しその変数をセグメントを選び出すのは不可能とは言わずとも非常に時間がかかります。そこで機械学習を用いてモデルを作成しそのモデルを理解することで、短時間で的確なセグメンテーションが可能になります。

このようにマーケティングで機械学習を利用することで、大量のデータを用いたOne to oneマーケティングを素早く、しかも高精度で行うことが可能になります。

今回はマーケティングにおける機械学習の活用シリーズの第一回としてB2Bマーケティングにフォーカスをして説明していきます。

 

B2Bマーティングのフロー

B2Bマーケティングに置いてマーケティングのミッションは売れる確率の高い有望な見込み客(ホットリード)をセールスに供給する事です。そのために多くの見込み客(リード)を発見し、それらの興味を喚起し、そして気が熟したタイミングで営業に渡すというフローで行われます。

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リードジェネレーション

このプロセスは商品・サービスを認知していない消費者に対して、商品を認知させ個人情報のわかった見込み客を獲得する事が目的です。そのためにイベントやセミナーなどでコンタクトをとったり、マスやWebの広告を打ったりと様々な手段が使われます。

 

リードナーチャリング

リードジェネレーションで発見した見込み客はまだ商品・サービスへの理解や興味が薄く、直ちにセールス対象とはなりません。そこでメールやDMなどを通して適宜見込み客の役に立つコンテンツ/情報を共有し、有望な見込み客としていく必要があります。

 

リードクオリフィケーション

有望な見込み客がセールスに渡せる状態にあるか選択するステップがリードクオリフィケーションです。その際に見込み客が商品・サービスを十分に理解し、今正に導入のための検討に入ろうとしているという状況にある必要があります。

 

B2Bマーケティングにおける機械学習ユースケース

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リードジェネレーション

新規リードを獲得する際には闇雲にマーケティングを行うのではなく、有望見込み客となる、ついでは購入するターゲットが多くいる可能性のあるセグメントに行うのが効率的です。そのターゲットセグメントを選ぶ際に、機械学習を用いることで精度を高め、人力では特定不可能な細かいセグメントも抽出することが可能です。

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過去の営業活動で有望見込み客となった/ならなかったというデータを元にモデルを生成し、そのモデルを元に今回アプローチするセグメントを特定します。そして調査会社などから購入しら未だ顧客でないリストやDMPデータ*1に予測モデルで見込みの高さを予測し、可能性の高いセグメントをターゲティングすることで確度の高い見込み客を効率よく獲得できます。

 

マーケティング反応予測

見込み客の商品への興味・理解を高めていくプロセスにおいて、eメールやDMを用いて見込み客にマーケティングを行いますが、まだ興味の薄い見込み客への細かい商品説明など彼らの役に立たない情報を送信したり、高頻度でメールを送信すると効果がないだけでなく、悪影響を及ぼしメール受信拒否などにもつながります。そこでCRMデータや過去発送した際に開封したか否かのデータより今回送付した際に開封する確率を予測し、今回も開封する可能性の高い(つまり興味を持っている)見込み客のみをターゲティングする事が可能です。

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リードスコアリング

見込み客のリストから営業にターゲットリストとして渡すべき、有望見込み客を特定します。具体的にはナーチャリングのステップでどれほど具体的に興味を示したか(例えばリンクをクリックしただけか、それともその後ウェブサイトでカタログをダウンロードしたか)などのデータよりその見込み客がどれほど真剣に購入を検討しているかを判定します。

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マーケティングチャネル最適化

多くのマーケティングを行う事が多い近年、有望見込み客を獲得するプロセスで複数チャネルに接触してコンバージョンする(有望見込み客となる)ケースがほとんどです。そこで限りがあるマーケティングの予算を用いてできるだけ多く獲得できるようチャネルにかける予算を最適化する事が重要です。傾向モデルを使ってそれぞれのマーケティングチャネルのコンバージョンへの寄与度に基づいてチャネルごとの予算を配分する事で有望見込み客の獲得を増やす事が可能です。こちらより事例の詳細がダウンロードできます。

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マーケティング分野でのDataRobotの活用

DataRobotは自動化された高性能な機械学習プラットフォームで、幅広い分野で利用されていますが、マーケティングにおいても非常に強力なツールとなります。

 

優れたUI

DataRobotは優れたUIでコーディングや統計の知識のない人でも機械学習を活用できる可能性を持ったツールです。モデルに問題点やリスクがないかの最終的な判断はデータサイエンティストにチェックしていただく必要がありますが、アナリストなどの方でもキャンペーン反応予測モデルなどを生成して施策に生かしていただく事が可能となります。

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モデリングの自動化

マーケティングにおいてはどれだけ多くの施策をスピーデイーに行なっていくかが非常に重要です。DataRobotにおいてはモデリングプロセスが全自動化されているため、開始ボタンさえ押していただければ自動で数十のモデルを生成。その中から最適なモデルを直ぐに事業に生かしていただくことができます。月に1度にリードスコアリングを行う程度でしたら、定型化した作業をパートさんなどが行なっているお客様もいらっしゃいますし、頻繁にモデルを更新する必要がある場合以前紹介させていただいた工場の不良品検知システムのようにAPIを用いて自動でモデルの予測及びアップデートまで行うことも可能です。

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モデルのグレーボックス化

マーケティングにおいて機械学習などのモデルを活用する際には、そのモデルが理解かつ説明できるものでなければいけません。ブラックボックスでは周囲からの理解も得られず、実行するのも難しいですし、アクションするターゲットセグメントの選定などのインサイトもモデルが理解できて初めて得ることができます。そこでDataRobotではモデルの可視化に注力しており、特徴量のインパクトモデルx-rayリーズンコード、ホットスポット、ワードクラウドなど様々なインサイトを用いてモデルを理解した上で利用していただくことが可能です。

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例えばリーズンコードというインサイトを用いると、追加の個人ローンを買う可能性が高い理由を一人一人のユーザーに対して説明することができます。例えば80.6%の確率で購入する1行目のユーザーはキャンペーン期間中にEメールが送付され、その前のキャンペーンから6週間経っており(頻繁すぎず、時間も空きすぎていない)、さらにその時の3ヶ月国債利回りが1%以下で非常に低くお金を借りるのに魅力的な状況であるという理由で購入する確率が高いということがわかるので、現場の人も納得した上でアクションを取ることができます。更に1番下の行のユーザーがの0.7%の確率でしか個人ローンを購入しない理由はDMを送付していない、かつその頃の国債利回りが高く買うのに理想的な状況ではなかっただけでなく、「以前必要な書類を送ったと連絡したところ、対応したものが受け取っていないの一点張りで非常に不愉快な思いをした」とのフィードバックも行なっていますので、顧客への対応を改善すれば購入確率も上昇するであろうという対応策も上がってきます。

 

まとめ

今回はB2Bマーケティングにおいて機械学習が活用できる場面を紹介しました。今後も顧客のエクスペリエンス向上のためには機械学習を用いて、カスタマイズされ高精度な予測を用いることがますます重要になっていくと思われます。

次回はB2Cマーケティングでの機械学習の活用方法をご紹介させていただきます。

*1 : DataRobotはパートナーである博報堂DYの「生活者DMP」、電通デジタルの「People Driven DMP」、トランスコスモスの「Decode」との連携も進めております。