TableauとDataRobot (その1):Insight連携

2018/11/14
執筆者:
· 推定読書時間 2  分

こんにちは、DataRobotの小幡です。

DataRobotは今年7月にTableauとの協業を発表しました。そして10月に米国ニューオーリンズで開かれたTableau Conference 2018で、その実装の第一弾であるInsight連携をリリースしています。 DataRobotはなぜTableauと協業するのでしょうか?そしてこのInsight連携とはどのようなものなのでしょうか。

「BIで新たな発見をする」から「BI + AIが発見してくれる」へ

BIの変遷を振り返ってみると、かつてのBIはデータアナリストが決まったデータセットを定期的にビジュアル化し、ビジネスアナリストがそれを参照するというスタイルでした。これは、ビジネス担当者が過去の事実を理解するのに役立ちましたが、なぜそのような結果が出たのか、どこに問題の原因があったのかを試行錯誤しながら調べる用途には向いていませんでした。

やがてデータ操作・UIの進化とともに、ビジネスユーザーが直接インタラクティブにデータを探索するセルフサービス型へと発展しています。これによりビジネスユーザーは自らビジネス課題の原因を探ったり、将来への計画を立てられるようになっています。しかしデータの相関性を発見したり将来の値を精度高く予測できるかどうかは各分析者の知見とスキルに依存しています。

そこで新たなBIの革新として、分析ソフトウェアがAIを活用して自ら積極的に知見を抽出できる能力が注目されており、Augment Analyticsという概念も提唱されています。そこでキーとなるAI技術の一つが機械学習です。

 

DataRobotとTableau:洗練されたBIから高度な機械学習を利用

DataRobotは高精度な機械学習モデルを生成し、その中身を理解し、システムに組み込むまでの全プロセスを自動化してくれます。その応用先は、製造業、金融業、流通業などあらゆる業界、マーケティング、人事などあらゆる業務における予測・推定・分類・検知・判定作業に及びます。

一方、Tableauはセルフサービス型BIのトップランナーとして市場から極めて高い評価を受けています。TableauとDataRobotが組み合わさることで、Tableauの直感的なビジュアル分析インターフェースからDataRobotの知見抽出の能力を活用することができます。特に今回の連携では、「なぜその問題が起こったのか?(この問題と関連性の高いデータは何か?)」という相関分析や、さらには「今後何が起こるのか?」という予測的分析をTableauから実施できるようになります。

Analytics Maturity Model

本ブログではこのうちの前者、Tableauのインターフェースを使ってデータから相関性を見つけ出す部分について見ていきましょう。

 

DataRobot Insight for Tableauによる相関性分析

例えば皆さんが通信業の会社に勤めるビジネスアナリストで、顧客のサービス解約率の高さに悩んでいたとしましょう。皆さんはサービス解約と関係の高そうなデータ(通話時間、通話料金、コールセンターへのコール数・・・)を見つけるためにTableauでさまざまなチャートを試していくことでしょう。

DataRobotではTableauとの連携の第一弾としてDataRobot Insight for Tableauをリリースしました。DataRobot Insightを使用すると、こうしたデータ間の相関分析をTableauのダッシュボードからマウス操作だけで簡単に行うことができます。これはTableauダッシュボードの拡張機能で、Tableau拡張機能ギャラリーからダウンロードすることができます。

Tableauでダッシュボードを作成し、左下の「オブジェクト」から「拡張子」をドラッグ&ドロップします。上記の拡張機能ギャラリーからダウンロードした拡張ファイル(.trexファイル)を指定して読み込み、続いてDataRobotのAPIトークンを入力すると下記のような画面になります。

Churn vs Call ins

 ここで、他の項目との相関性を調べたい項目(ここでは「3ヶ月以内の解約(の有無)」)を指定してSTARTボタンをクリックしてみましょう。そうすると、データがDataRobotへ転送され自動的に探索的データ解析が行われ、結果がTableau上に表示されます。

Correlation Analysis

DataRobotが自動的にさまざまなデータとの関連性を調べてスコアの高いものからランキングにしてくれますので、皆さんは探索的な作業を大幅に軽減することができます。

この時、Tableauを介してDataRobotのプロジェクトが自動的に作成されています。データが投入されターゲットも指定されていますので、DataRobotの画面に移動すれば、そのまま3ヶ月以内の解約を予測するモデルを作成してしまうこともできます。

DataRobot_ChurnAnalysis

いかがでしたでしょうか。Insight連携による相関分析は便利ですが、とはいえAI/機械学習の活用というにはまだちょっと物足りませんね。次回のアップデートでは、DataRobotの真価、つまり高精度な機械学習モデルを使った予測分析をTableauから利用する連携についてご紹介する予定です。

執筆者について
小幡 創(Hajime Obata)
小幡 創(Hajime Obata)

プロダクトマネージャー

DataRobot プロダクトマネージャー。2018年から DataRobot に参加。DataRobot 製品に関するフィードバック収集と新規開発計画への反映、新機能・新製品のベータプログラムやローンチ、トレーニングやマーケティングを通じた普及活動、ローカライゼーション管理、などを通じて、AI と DataRobot の価値を日本に広く広めるための業務に従事。

小幡 創(Hajime Obata) についてもっとくわしく