小売・流通業における機械学習の活用事例

DataRobotのデータサイエンティストの中野 高文です。

小売・流通では縮小する国内市場で収益を上げるために、効率化の必要性が声高に語られています。在庫・欠品ロスを減らしたり、レジの自動化や、従業員配置の適正化などの取り組みが始められています。

一方でAmazon、ZOZOなどに代表されるEC市場は大きく成長しています。そこで、リアル小売企業も自社ECサイトやネットスーパーでオンラインに参入しEC化を進める必要性が高まっています。

それらの問題を解決する手段の一つとして注目を集めている技術が機械学習です。リアル店舗、EC問わず小売・流通のあらゆるプロセスで機械学習を活用した課題の解決が可能です。

 

 

仕入れ・在庫

小売で在庫の最適化は大きな課題です。

在庫が多い事でキャッシュフローが悪化します。加えて在庫の増加によって利益も減少します。まず保管倉庫などを用意して在庫管理が必要になりコストが増加します。さらに売れ残りが発生した場合、割引や廃棄に繋がります。

一方で在庫が少なすぎる場合、商品が不足し機会ロスが生じてしまいます。

そこで在庫を適正化するために、より正確な需要予測が必要になります。機械学習を使うことでより正確な需要予測を行う事ができます。

 

また既存商品だけではなく、新商品の需要予測も行われています。過去の販売データが全くないですので難易度は上がりますが、過去の類似商品の販売履歴から予測する事ができます。

 

広告宣伝

リアル・EC問わず広告や宣伝は小売企業にとって重要な集客手段です。

CRMが充実しているリアル店舗やECでは、顧客の登録・購買情報やWebやアプリの行動データなど豊富なデータがあります。そのデータでLTVや顧客内シェアを予測するモデルを生成し、ターゲットする顧客セグメントを決定するといったマーケティングの意思決定に活用することができます。あるいはクロスセル/アップセル/再購入する可能性の高い顧客を予測し、レコメンドのアルゴリズムを用いて出された商品をダイレクトメール/Eメール/アプリのプッシュなどで提案するといった事が行われています。

 

一方リアル店舗でもテレビやチラシの広告量を最適化するために機械学習のモデルを使うことができます。広告量などを変数として売上を予測するモデルで、広告量を増減した時の売上をシミュレーションし目標とする売上を達成するための必要広告量を予測する事ができます。

 

販売

コンビニ、スーパー、ドラッグストアなどが増加しリアル店舗の競争は激化しています。そこで競合よりも少しでも良い立地に出店する事が重要です。候補地の商圏・交通量・人口・競合店舗数などのデータから新店舗の売上を予測し、候補地の選定にも活用されています。

一方でコンビニ・ドラッグストアなどでは比較的近い距離に自社新店舗ができると既存店の売上が減少する場合があります。そこで新規店舗の影響による既存店舗の売上変化量(カニバリ)の予測も行われています。

また商品の店舗内での位置や価格の最適化にも機械学習は活用されています。例えば商品を配置する位置やフェイス数を変えた際の売上を予測する棚割モデルや、価格による売上の変化を予測する価格弾性モデルを機械学習で生成することができます。そのモデルを使ってシミュレーションし利益を最大化する価格や棚割を予測する事ができます。

 

顧客サポート

リアル店舗では人手不足や人件費の高騰の課題が顕在化しています。そこで訪問客数を予測する事で従業員数の最適化する事ができます。あるいは従業員の離職を予測するモデルを生成し、原因を解明することで離職予防にも活用されています。

また顧客獲得競争が激しさを増している中で、顧客ロイヤリティを上げることが重要性が高まっています。そこでSNSや口コミを感情分析したり、顧客満足度を予測する機械学習モデルを使って満足度が低い原因の解明に使われています。

 

卸売業での機械学習の活用

卸売業でも機械学習を活用してビジネスを改善することができます。

小売同様に在庫の最適化に使われたり、顧客ごとの需要予測から配送人員やトラックを最適化することもできます。また営業活動を効率化するために、新規の顧客を見つける、あるいは既存顧客の解約予測するためにも機械学習は活用されています。

 

 

小売でよく活用されるDataRobotの機能

 

小売・流通業界で活用される機械学習には以下の2つの特徴があり、DataRobotにはそのニーズに対応した機能が備わっています。

 

1. 時系列問題

小売で重要な問題には時系列問題が多く見られます。需要予測、来客数予測、広告予算最適化のためのマーケットミックスモデルなど(下図で赤い部分)は全て時系列問題と呼ばれる問題です。

 

時系列問題は通常の機械学習とは異なった特有の難しさがあります。その結果、時系列モデリングを自動化するのは非常に難しかったのですが、DataRobotでは2018年8月にその時系列予測を自動化する時系列アドオン製品をリリースしました。この製品を使っていただくことで、これまで時系列モデリングを熟知したデータサイエンティストしかできなかったことが、ビジネスアナリストや現場の方でも高精度な時系列予測モデルを生成できるようになりました。

時系列製品については、こちらのブログ記事で詳しく説明しています。

 

2. 現場への説明責任

小売では現場が強い力をもつことが多く、単に精度が良いだけでなく、現場が納得できるよう説明可能なモデルである必要があります。 

そこでDataRobotではモデルの内容を現場に説明できるよう様々なインサイトを用意しています。また、モデルがビジネスナレッジに沿ったものになるようモデルの構造に制限を加えることもできます。

特徴量のインパクト・特徴量ごとの作用・予測の説明

DataRobotは特徴量のインパクト、特徴量ごとの作用(旧名:モデルX-Ray)、予測の説明(旧名:リーズンコード)といったインサイトで機械学習モデルを解釈する事ができます。

例えば、下の特徴量ごとの作用のグラフでは、価格に伴う販売数の変化(部分依存)がわかります。

特徴量のインパクト、特徴量ごとの作用を使うことでどのような特徴量が予測に重要でそれが変化するにつれて予測値にどのような影響を及ぼすかを知ることができます。また予測の説明を使って一件一件の予測がなぜそのような値をとるかを説明できます。 

これらの機能は、こちらのブログで詳しく説明されています。

 

特徴量制約

モデルのインサイトで現場の担当者の直感と違ったパターンが見られることもあります。例えば先ほどの価格 vs 販売数の需要曲線では$14近辺で価格が上がるにも関わらず販売数が上昇するグラフになってます。精度の良いモデルでもこのように現場の感覚に反する場合、現場が納得せず使ってもらうことは難しいです(実は「正月に$14近辺で売っていて非常によく売れた」といった何か理由があるのですが・・・)。

そこでDataRobotでは値段が上がれば販売数が下がるという制約(単調制約と言います)に従うモデルを生成することができます。単調制約を設定すると、現場の感覚通り綺麗な右肩下がりの需要曲線を描くモデルを生成する事ができます

 

 まとめ

小売・流通では需要予測など機械学習を使うことで利益に直結する多くの課題があります。しかしデータサイエンティストが不足しているため、その予測モデルを生成するには機械学習の自動化が欠かせません。またそのモデルを現場に納得して使ってもらうために、理解して説明できるモデルであることが重要です。DataRobotは高精度のモデルを自動で生成し、解釈可能にしてくれるプラットフォームとなっています。

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